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2024年度の新任教員の座談会インタビュー

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2024.01.24 2024.09.11
2024.01.24

デジタルハリウッド大学大学院では、デジタルコンテンツやデジタルコミュニケーションに関わる科目の編成のアップデートと教員組織の充実に常に積極的に取り組んでいます。
2024年度においても新規科目をいくつか設置し、修士課程の修了課題の指導も担う教授として、新たに3名の教員を採用予定です。
今回、3名の方々に、これからの意気込みなどについて語っていただきました。

(聞き手:木原 民雄 研究科長)

参加者

 波木井 卓 教授「アントレプレナー特論」(予定)
 竹中 直純 教授「デジタルテクノロジー原論」(予定)
 山﨑 富美 教授「グローバルプロジェクト特論」(予定)

この日、3名の新任教員は、初対面であり、お互いの自己紹介のあと、

 これまでの自らの経験のなかで、新規科目に活かしたいこと
 デジタルハリウッド大学大学院の院生たちとのこれからの交流で期待していること
 最近、気になっていること、思っていること、課題と考えていること、大切にしていることなど

について大いに語り合いました。

「いまから世界を幸せにするひとを ここで待っている」

常に革新を求め続けるデジタルハリウッド大学大学院に、今後もご期待ください。

インタビューの内容のまとめ

波木井 卓 教授「アントレプレナー特論」(予定)

(1)これまでの自らの経験のなかで、新規科目に活かしたいことを教えてください。

アントレプレナーとして、億単位の利益を作るベンチャー企業を立ち上げてバイアウトしたり、イントラプレナーとして、大企業の中で組織や事業を作り、世界中の拠点で100人のスタッフと100個のビジネスプランを統括したりしてきました。このような新しい組織や事業をゼロから作ってきたキャリアと経験そのものを活かしたいと考えています。本に書いてあることではなく、自らが経験したリアルな経験を学生に伝えられるようにしたいと思っています。

(2)デジタルハリウッド大学大学院の院生たちとのこれからの交流で期待していることを教えてください。

授業は、一方的にこちらから発信するのではなく、院生も積極的に討議に参加できる形にしたいと思っています。私の授業に参加を希望する学生はおそらく自分のビジネスプランを持っている人が多いと思いますので、それらを学生と教員、また学生と学生で内容を揉んで、いいものに仕上げていこうと考えています。その過程自体が学びとなりますし、院生たちとのビジネスアイデアのぶつかり合い、そこから生まれる思いもよらなかったようなビジネスアイデアが形になることを期待しています。

(3)最近、気になっていること、思っていること、課題と考えていること、大切にしていることなどがあれば、何か教えてください。

アントレプレナーとして大切にしていることは、「真似をしないこと」です。他の人の成功しているアイデアを真似ることは手っ取り早く、簡単に儲けることができるかもしれません。しかし、それでは、自分の存在意義が見えなくなります。何よりも、何のために起業したのかわからなくなります。たとえ、目の前に大きな壁があろうとも、起業家を名乗るなら、自分のオリジナルのアイデアで勝負すべきだと考えています。自ら起業した時も、企業内起業家だったときも、自分はそれを大切にしてきましたし、スタッフにも言い聞かせてきました。そのような心の持ち方も伝えていけたらと思っています。

波木井 卓(はきい たかし)
早稲田大学 政治経済学部 政治学科を卒業、プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社に入社。主に会計分野の業務改善のコンサルティングを手がけ、SAPプロダクトの日本化やSAPジャパンの立ち上げ、またアメリカ、ドイツ、香港などの海外赴任を経験。同社退職後、インターネットでクラウド型の法人向けメール配信を行うネットベンチャー、トライコーン株式会社を起業。小さな市場ながら、当時日本での市場シェアナンバーワンに育てあげ、上場企業の株式会社セプテーニに同社をバイアウト。その後、スタートアップへの投資や経営戦略支援、新規事業開発、M&Aなどのアドバイザリーサービスを行うジョリーロジャー株式会社を設立。また、コニカミノルタ株式会社において、ワールドワイドな新規事業開発部門を立ち上げ、部門長として大企業の新規事業のインキュベーションを行う。ライフワークは、トレジャーハンティング。インドネシアのマラッカ海峡における沈没船からのお宝引き上げなどを行う。 

竹中 直純 教授「デジタルテクノロジー原論」(予定)

(1)これまでの自らの経験のなかで、新規科目に活かしたいことを教えてください。

コミュニティ栄枯盛衰のステップ(面白い人が面白いことをする→…みたいなやつ)がちょっとしたミームとなっているが、考えてみればそれ以前には「賢者」が知見を共有する場としてのインターネットがあり、その時代につくられたガバナンスが今だに経路制御やリソース分割の基礎になっています。しかしコミュニティのような社会的装置が機能するようになればなるほど「悪いやつ」が混ざってきて、倫理を説けないような状況が見えてきて、法がいよいよ必要なのかもしれないという時代の状況の中で、その流れを全期間にわたって見てきた自分が参照元となって、学生が次世代のネット社会をうまく泳げる、うまくいけば作れるような機会となるような内容としたいです。

(2)デジタルハリウッド大学大学院の院生たちとのこれからの交流で期待していることを教えてください。

この20年くらいは日本社会や日本文化についての衰退論ばかり聞き、自分で考えた場合でも良い方向に向かう出口がなかなか見つからなくて、このテーマで話すときにはなかなか辛かったのですが、デジタルハリウッド大学大学院ではロケーションや周辺環境以外、特に日本を枠として捉える必要がなく、学生と一緒になってグローバルな視点での日本を客観的に俯瞰しつつ、より広い範囲での価値観を学生と相互に築くことができるのではないかと期待しています。

(3)最近、気になっていること、思っていること、課題と考えていること、大切にしていることなどがあれば、何か教えてください。

個人やあらゆる組織が「少人数の誰かによって大声で非難される」ことに弱すぎるのはなぜなんだろうと考えています。また「変化を嫌う」ことは脳の構造由来の生理学的動態なのか、社会環境的後づけの癖なのか、ということも気になっています。Pikmin4やDiablo4をやる時間がちっとも取れないことでイラついています。糸島のまちづくりで人間の関係に焦点をあてたコンセプトをプランにする段階なのですが、その段階で資料として読んでいる道元の『正法眼蔵』や量子力学方面の書籍が、この世は関係性のみ存在している、と繰り返し言ってくることが、どういうことなんだろうと考えています。

竹中 直純(たけなか なおずみ)
プログラマー。97年digitiminimi社を設立、インターネット黎明期に坂本龍一とのネットライブ、村上龍とのWeb小説配信を行なう。その後、音楽配信、電子書籍、テキスト検索、電子通貨の技術開発と構築に携わり、それらの事業会社(OTOTOY,BCCKS,Brazil)の発展的運営を行なっている。著書に村井純との共著『DX時代に考えるシン・インターネット』。

山﨑 富美 教授「グローバルプロジェクト特論」(予定)

(1)これまでの自らの経験のなかで、新規科目に活かしたいことを教えてください。

これまで、NTT、インタースコープ、テクノラティ、Google、Nianticと、日本の大企業やスタートアップ、グローバルなtech企業など、さまざまな環境で色々なプロジェクトに関わってきました。会社内のプロジェクトはもちろん、企業間、あるいはコミュニティでのプロジェクトも企画や運営をしてきました。リソースの少ないプロジェクトだと、自分で何でもやらないと、やりたいことややるべきことを実現することができませんし、仲間を増やさないと24時間では足りない状態になります。そんな血と汗と涙で学んできたことを、少しでも共有し、皆さんが自分のプロジェクトを実現する際に役立つ「筋肉づくり」になればと思います。

(2)デジタルハリウッド大学大学院の院生たちとのこれからの交流で期待していることを教えてください。

デジタルハリウッド大学大学院のメッセージは「世界を幸せにする人たちをここで待っている」。つまり、院生の皆さんはこれから「世界を幸せにする人たち」です。ひとりで成し遂げられることは少なくても、ここに集まった多様なスキルやバックグラウンドをお持ちの皆さんが、力を合わせてそれぞれが実現したい未来を語り合い、力を貸しながらみんなで作っていく、将来的にそんなことが可能になる土台が作れればと思っています。

(3)最近、気になっていること、思っていること、課題と考えていること、大切にしていることなどがあれば、何か教えてください。

最近気になっていることは世界情勢とAIの進化が社会に与える影響です。さまざまな紛争、貧富の差と分断の問題があり、今年は世界中で大きな選挙が行われます。これに相まって、昨年から生成AIの台頭でAIが作るコンテンツのクオリティと量が圧倒的に向上し、素晴らしい事例も増えていきますが、残念ながらフェイクニュースも増えてしまうでしょう。世の中の流れに飲み込まれずに、根っこのところで「世界を幸せにしたいんだ」という柱をもった人を世界中で増やすことが重要だと考えています。大切にしていることは「好奇心」です。世界で何が起きているのか、自分と全く違う境遇の人達が何を体験し、何を考えているのか、知ることが大事だと思っています。

山﨑 富美(やまざき ふみ)
早稲田大学法学部卒業後、NTTに入社、法人営業を行う。インタースコープに転職し、マーケティングリサーチに従事。デジタルガレージグループにてブログ検索エンジン「テクノラティジャパン」の立ち上げと運営、ベンチャー投資、テレビ番組BlogTVの制作、カンファレンス運営等に携わった後、フリーランスに。2009年よりGoogleにて、Developer Relations Team Japan leadとして開発者支援を行う。東日本大震災に際しては日本中のエンジニア達が被災地のために開発を行う「Hack for Japan」を、次の災害に備えるために東日本大震災に関する様々な企業がもつデータを分析する「東日本大震災ビッグデータワークショップ -Project311-」を、東北で若者達がテクノロジーについて学び、教え合う場として「東北Tech道場」を立案、企画、運営した。渡米後、Social Impact Teamというテクノロジーを使って社会をよくするというミッションのチームで活動の後、Advanced Technology and Projects Team(ATAP)にて、レーダー技術を使った新しいセンサーを開発するProject Soliや導電性の糸を使ったウェアラブルを開発するProject Jacquardでプログラムマネジメントを担当。2018年より2022年まで、AR技術の開発会社 Niantic にて、ポケモン GO、Ingress、Niantic Lightship等のアジアでのマーケティングを担当。

木原 民雄(きはら たみお)
メディアアーティスト、メディアデザイン研究者。メディアデザインの仕掛けや仕組み、メディアアートの企画制作展示方法を探究している。青山学院大学大学院経営工学専攻博士前期課程修了後、NTT入社。ネットワークマネジメント、映像データベース、コミュニティウェア、デジタルサイネージなどの研究開発に従事し、サービス企画や研究戦略にも携わる。博士(情報理工学)(東京大学大学院)。2019年度よりデジタルハリウッド大学及び大学院教授。2022年度より大学院研究科長。1996年頃よりメディアアートの制作を開始。NTT/ICC、メディア芸術祭愛知展などで作品展示。展覧会の企画、監修、展示協力などに関わり続ける。1997年Prix Ars ElectronicaのInteractive Art部門でHonorary Mention、情報処理学会山下記念研究賞など受賞多数。本学では、研究紀要の編集幹事、必修科目「デジタルコンテンツ総合研究」「デジタルコンテンツの理論と実務の架橋」を担当、「リサーチテックラボ」主宰。

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