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2022.04.27

2022年度「修了課題構想 +Future Gate Camp」イベントレポート

2022年4月16日から17日にかけて、デジタルハリウッド大学駿河台キャンパスで、デジタルハリウッド大学大学院(以下、DHGS)「修了課題構想」と「Future Gate Camp」が開かれた。

入学式を終えたばかりのDHGS学生が最初に臨むイベントとなる。

「Future Gate Camp」は2年後に発表する修了課題に向けて、どのような活動をしてゆくのかという構想を練る機会であり、入学間もない時期に同期生との親交を深めつつ、教員やメンターとともに学生としての今後を模索するというのがテーマだ。

3年ぶりの開催となった今回はコロナ禍のため、リアル会場となる駿河台ホールと、Zoomによるリモート会場のハイフレックス型として、約6割の学生がリモートでの参加となった。

ハウリングの防止と、リモート参加の学生と差が出ないように、リアル会場でも教員やメンターは全員イヤホンを付けてZoom上にて進行された。

1日目・オリエンテーション

DHGSでは毎年の入学年度ごとにテーマを示しており、2022年度入学の学生たちには「NEIGHBORS 近くにいるものたち」というバッジネーム(世代の愛称)が贈られた。

「いまから世界を幸せにするひとをここで待っている」というトップメッセージの続きのストーリーとして、「私たちは近くにいるものたちである」という組み立てをしてゆくということだ。

このバッジネームは2年後の成果発表会「DHGS the DAY」のコンセプトにも設定される。「DHGS the DAY」については先日開催された昨年度のレポートもご覧いただきたい。

オリエンテーリングの最後には「30秒で自己紹介プレゼンをする」という今回の制作課題が発表された。自分の研究動機や経歴、これからの展望をA4サイズの1枚画像にまとめて、発表時間は30秒間のみ。限られた時間の中で要点をまとめて的確に伝える訓練を兼ねている。

ここからは学生各々で自己紹介プレゼンの制作が始められた。各自それぞれ工夫を凝らしたプレゼンシートが作られてゆくのが見て取れた。

1日目の後半でリモートで参加している杉山学長からメッセージが届いた。杉山学長は恒例となっている3Dのアバターを用いての登場

「我々は割と自由なところにいる。その自由をどう使うのか?それが問われている。1人1人の倫理観、世界観、未来観が本気で人類社会のこれからを変えてしまう。(卒業までの間に)自分の能力や可能性を上げてゆくことも大事だが、お互いに人を助けるということも大事。そう思って進んで行ってほしい。」(杉山学長)

ここで一旦制作の手を止めて教員やメンターも含めた数人のグループを作り、自己紹介も兼ねたフリートークの中から、自分でも気が付いていなかったオリジナリティを再発見することができる時間が設けられた。

1日目のリアル会場はこのまま流れ解散となり、終夜で開かれているZoomのリモート会場にて制作の続きや、今後の学生生活、その先の展望についての話が続けられていた。

2日目・自己紹介プレゼン

2日目は午前中までプレゼンの準備を続けて、午後から1人30秒のルールで自己紹介の発表が始まった。リアル会場、リモート会場の分け隔てなく発表が進む。

リアル会場の学生も前に出るのではなくZoom上で発表を行う。

デジタルハリウッド大学から内部進学した方、企業の代表を務めている方、海外から日本文化を研究するために来日された方、多種多様な経歴の方々が集まって来られている。

入試の際に掲げていたテーマをそのまま突き通される方、やりたいことが複数あり迷われている方など、短い発表時間の中に熱い思いが垣間見えた。

学生のプレゼンが終わったところで、教員とメンターより講評を受ける。

「コンテンツ制作(作ること)を中心に考えている人が多いようだが、大学院ではそこの先にあるところ(産業・医療・文化など)に影響を与えられるよう目指してほしい。それを使って世の中へどのように貢献してゆくかを考えることにシフトしてほしい。」(松本英博教授)

「良いツールが次々に誕生して、良いコンテンツを作るのは簡単になっている。そこではなく根本的に社会を変えるには何が必要か考えてほしい。ツールに依存せず、自分のやりたいことや哲学を見据えて必要なものを開発してゆくことを目指してほしい。」(三淵啓自教授)

「(今回の30秒プレゼンに挑戦するにあたり)ルールと勝利条件と戦略を確認する。今回は勝利条件の設定がないので、例えば仲間を見つける、何人から連絡をもらったら勝ちなど自分で決めて戦略を立てる。そうすることで何を伝えるかが絞れる。(提示された)サンプルに引き摺られると埋もれてしまうので、そこからどう離れられるかを考えるときに戦略の設定は重要だ。」(米光一成教授)

「子供の教育について挙げている方が何人かいたが、大手の図鑑メーカーで宇宙、動物、植物などはあるがコンピュータがない。日本のITリテラシーを上げるのはコンピュータの図鑑を作ることではないか。作ってみたい学生がいれば一緒にやりたい。」(橋本昌嗣教授)

「5年後10年後に起こりそうな問題を見つけ出すことをテーマとして、それに向けた仕組みを作っていく準備を地域社会や様々な人たちと力を合わせて進めてゆくことはとても重要だ。」(荻野健一教授)

「(全体的に見ていて)テーマがまとまっている方が多い印象を受けた。またそれぞれのテーマも面白い切り口で、絶対に出来そうだと感じて楽しみにしている。」(吉村毅教授)

「社会人の方は忙しいと思うが、自分は色々工夫をして無遅刻、無欠席で卒業できたので、授業の出席に不安に感じている方は是非相談してほしい。」(メンター・加茂文吉)

「(修了課題がまだ定まっていない方へ)お勧めはマインドマップを1年くらいかけて作ってみること。1週間に1回でもいいのでこつこつとアップデートしてゆくことで、自然と自分の中の大きなテーマに導かれるかもしれない。」(メンター・鈴木由信)

「今日うまくプレゼンできた人はそのまま突き進めば良い。それよりも思いをうまく伝えられなかったが、心の中にマグマが残っている方のことに注目している。マグマを社会のためにどう形にして使えるのかを考え、(大学院の)2年間の使い方次第ではすごいものを作れるのではないかと思っている。」(メンター・石川幸治)

「今思っていることを最終的な形にする方もいたり、DHGSでのこれからの経験の中でどんどん変わっていくというのも有りだと思っている。色々な人と話をすることで自分のことをどう伝えるか、他人から見て自分がどう思われているかを探究していくことが重要なことだと考えている。」(メンター・濱田考弘)

「デジハリの特徴として社会実装がある。自分のやりたいことの先にある社会のニーズへどうコミットしていけるかを考えていくことで、それを応援してくれる仲間ができたり、ビジネスとして展開してゆくことができる。何か困っている人のためになることを見つけていってほしい。」(メンター・京極一樹)

「それぞれ何かしらの野心を持って入学してきていることと思う。それをマネタイズであったり、何かしらの形で社会へアウトプットしてゆくことを常に見据えながら2年間を過ごしてほしい。」(メンター・因藤靖久)

最後に木原民雄研究科長より、講評と合わせて激励のメッセージが贈られた。

講評後は懇親の時間となった。リアル会場では席を移動し、自己紹介を聞いて気になった学生と話をしたり、リモート参加の学生もZoomのブレイクアウトルームで交流を図っていた。

最後に記念撮影。実りの多い大学院生活になりますように。

(文・写真=棚田瑛葵)