インタビュー

修了課題で特許取得 医療アプリで夢を実現

修了課題として制作した医療分野における健康管理アプリケーション及び付随サービスにおいて、特許を取得した桑原謙介氏。入学時はまさか特許取得に至るとは想像もしていなかったと振り返ります。国際特許の申請も準備中で、関連特許取得も予定。これから20年の事業展開も、さまざまなアイデアと共に構築済みです。特許取得に至る完成度まで「ビジネスプラン」を磨き上げ、「プロトタイピング」で即実行を可能とする、本大学院の修了課題指導。教授の何気ないひと言から始まった特許取得への道のりと、その下支えとなった院生生活についてお話を伺いました。

「これ、特許になるんじゃないか。」
教授のひと言が、修了課題を特許に変えた

 

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-特許取得おめでとうございます。そもそもこの開発に取り組むために入学されたのですか?

 

 いえ、違います。修了課題でどんなことをやろうかというところから、発想した企画です。私が修了課題に取り組んだ時期はアプリ屋さんが増えてきた頃でした。最新のテーマでアウトプットしたいと考えて、アプリケーション開発を選びました。実際ビジネスプランをつくっていくうちに、これはいけるのではないかという感触がでてきました。

 

 実は、修了課題の最終発表段階まで、特許取得については全然考えていませんでした。デジタルハリウッド大学院の修了課題指導過程では、指導教員以外の教員からアドバイスをいただく機会が多く設けられています。最終発表にも、BCI(ビジネス・クリエイティブ・ICT)領域それぞれの教員が立会います。その際に、ビジネス領域がご専門の松本英博教授が、ふと「これ、特許になるんじゃないか。」とおっしゃったのです。とてもシンプルな仕組みだったので、最初は「いやいや、まさか。」と思いました。「まぁ、でも少しでも可能性があるなら、まずは当たってみようかな。」と真に受けまして、動いてみたのです。

 

決め手は、弁理士の腕
「ただの計算機」から12項目の審査請求

 

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-どのように動いていったのでしょうか?特許申請のプロセスを教えてください。

 

 動き出すと、特許の世界は自分で調べられる範囲の先は、弁理士の先生に相談しないと進まないことが分かりました。それで、弁理士の先生を探し始めたのですが、これにものすごく苦労しました。大概の先生は開発したアプリケーションの話をしても、ただの計算機だろうという見方しかしないのです。デジタルコンテンツ分野に明るくて、その仕組みをきちんと理解して、新規性を判断できる先生がなかなか見つかりませんでした。特許申請という性質上、限られた教員や職員にしか内容も話せなかったので、人伝手の紹介に頼るわけにもいかなかったので。

 

 困り果てていたときに、たまたま、NAV国際特許商標事務所の橘祐史先生とお会いすることができたのです。橘先生は、東京大学出身で開発畑にいらっしゃった方です。持ち込んだアプリケーションの内容を、実はこういうことなのだと3~4時間説明させていただいたところ、その価値を正確に理解してくださいました。そこからやっと、特許申請に入るわけです。ここまで、3ヵ月かかりましたね。

 

 また、指導教員の香田夏雄准教授から、弁理士の先生を選ぶときは提案してくださる審査項目の多さで選べと言われていました。ひとつのもので、どれだけの特許項目を抽出できるかは、弁理士の先生の腕に寄るとアドバイスをいただいたのですが、その点も橘先生はすばらしかったです。14項目ほどご提案いただいて申請し、うち12項目ほど審査請求に至りました。

 

 未出のものを審査するとなると、その審査方法も未知の領域です。国際特許の申請も予定しており、現在準備中ですが、審査方法を橘先生が調整してくださっています。特許申請の最終段階は、弁理士の先生の力量に寄ると実感しています。

 

MBAではなく「つくれるようになりたい」
その選択は、DCM修士

 

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-アプリケーション開発を支えた、院生生活についてお伺いします。大学院入学の動機からお聞かせください。

 

 私の場合、大学院に進学しようという動機が先にありました。たまたまデジタルハリウッド大学院の300m先に勤務先のクリニックがあったのも検討のきっかけです。いろいろな大学院を検討して、最終的に、中央大学大学院MBA課程とデジタルハリウッド大学院で迷いました。中央大学大学院MBA課程への入学を具体的に検討したときに、「この課程を修了すると何か自分でつくることができるようになったりするだろうか?」という思いがふと浮かんだのです。「きっとならないな、つくれないな。」と思いまして、デジタルハリウッド大学院への入学を決めました。「つくれるようになりたい。」と思ったのです。

 

 入学試験では、私の前の受験者の方が、英語でプレゼンテーションされていたのが印象的でした。「これ、レベル高いな。」と思って、焦りましたね。私の入学試験では学長が審査官で、デジタルハリウッド大学院を選んだ理由を聞かれました。「つくることができるようになる」という点を素直に話したのが良かったのか、1年制制度で合格することができました。入学後はとても楽しい学校生活でしたね。

 

授業×ラボ×院生
修了課題を磨く3つのステップ

 

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-どんな科目を履修されましたか?大学院での学びがどう役立っているか、教えてください。

 

 1年制で入学したので、修了課題でのアウトプットを意識しながら履修計画を立てました。修了課題では、ビジネスプランと一緒に必ずモックを提出します。入学前、プログラムについて知識としては学んでいましたが、実践できるレベルではありませんでした。今回開発したシステムについて、基本設計は「ICTソリューション導入手法」(三淵啓自教授)での学びが参考になりました。また、実際のモック開発では「Webプログラミング演習[2014年度からは、制作演習D(プログラミング)]」で学んだ基礎が活かせました。仕組みはいくらでもつくれると思っています。最初のアイデアや構成は自分で考えて、かんたんに動くところまでは持っていきます。そこから、モック(デモ機)をつくる際の、プログラム構築は大学院の授業で学んだという感じです。

 

 また、1年制では本来1ラボの単位を取得すれば修了要件を満たしますが、3つのラボに顔を出していました。インタラクティブ・リアルタイム・コンテンツラボ(香田夏雄准教授)、コンテンツ情報処理ラボ(三淵啓自教授)、ヒットコンテンツラボ(吉田就彦教授)です。特に、インタラクティブ・リアルタイム・コンテンツラボで香田夏雄准教授に新しい技術の情報や方法論をご指導いただき、とても感謝しています。

 

 同ラボを基点として単位を取得しながら、他2つのラボでも院生との交流を広げました。自分では調べきれない技術的な部分は、同期の院生に開発をサポートしてもらっています。デジタルハリウッド大学院には、デジタルハリウッド大学から内部進学した学生を中心に、すでに制作スキルがある、つくれる学生も集まっているので、助かりましたね。

 

 ひとつひとつの科目が、修了課題を成功するビジネスプランに磨きあげていくプロセスに集約されていきました。こういった学びを通して一番役立ったことは、「自分のできていないところ」がよく分かったことです。また、アクティブな留学生の存在に強く影響を受けました。中国やネパールから国の産業を変えようと日本へ学びに来ている学生のバイタリティには圧倒されましたね。

 

「入学が、特許取得のきっかけになった」
20年を見据えて、中学からの夢を実現

 

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-デジタルハリウッド大学院へ入学して良かったことは何でしょうか?

 

 一番良かったと思っているのは、何よりも、特許がとれたことです。つまり、デジタルハリウッド大学院への入学が無ければ、特許がとれることは無かったということですね(笑)大げさに聞こえますが、事実です。ひとつのものをつくりあげることができ、入学の目的を達成できました。また、周囲からの評価が変わったという実感があります。大学院修了、特許取得という経歴を発信することで、新しい人脈の開拓にもつながっています。これまで、見た目だけで判断されがちだったのですが、ひとつの商談をとっても、真剣に取り合ってもらえるようになりました。

 

 さらに、大学院修了後3ヵ月ほどで、起業することもできました。特許の有効期間20年を見据えて、事業を拡大していく予定です。一生かけて取り組む仕事のひとつができたと思っています。現在は、このアプリケーションの仕組みを使って、中学生の頃からの夢を叶えられるのではないかと目論んでいます。もともと、医者になって、医者のないところにいきたいと思っていました。中学一年生のとき英語の授業で教科書の写真を眺めながら、強い違和感を覚えました。その写真には、たくさんの難民の方と白人の医者が一人写っていました。それを見て、健康であることがとてもラッキーなのだと気づきました。これから、取得した特許を活用して「医療に携わる」という夢を実現したいと思っています。

 


 

プロフィール

 

桑原謙介(くわはら・けんすけ)氏

株式会社D-dimensions 代表取締役

1980年生まれ。2013年デジタルハリウッド大学大学院修了。飲食、金融、建築、美容業界のコンサルティング業務を経て、新規飲食店を立ち上げ。その後、美容医療業界へ転進し、クリニックを設立。大学院修了後、コンテンツに特化した法人を起業。医療分野における健康管理アプリケーション及び付随サービスにおいて、特許取得。国際特許申請予定。

 



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