インタビュー

大学院での研究成果が脚光を浴び、ビッグデータ解析の第一人者として起業

これからの時代に即した
デジタルコンテンツを学べる唯一の大学院

 

1resize.jpg

-デジタルハリウッド大学大学院への入学を決めた経緯を教えてください。

 

 29歳でデジタルハリウッド大学大学院に入学するまで、私はBlu-RayディスクやHD-DVDディスクなどに関するハードウェア技術の研究開発に携わっていました。ですが研究を進めるにつれ、メディアよりもそこに記録されるコンテンツやその周辺技術の重要性に気づくようになったのです。「これからはデジタルコンテンツやインターネットテクノロジーの時代だ」――そう思っていたところ、折よくデジタルハリウッド大学大学院が誕生。デジタルコンテンツに特化した唯一の大学院ですし、講師陣もクリエイティブ業界で活躍する実務家ばかり。10代の頃から将来的に会社を興したいと考えていたこともあって、起業を視野に2年コースへの入学を決めました。

 

 入学後しばらくは、戸惑うことばかりでした。というのも、これまで私が受けてきた授業とはスタイルがまったく違っていたからです。講師の教えを聞くだけの受身な姿勢では、何も生まれない。自分からアクティブに動くことで、新しいプランが生まれ、プロジェクトが具現化する。周りの仲間たちから刺激を受け、最初の2ヶ月間で意識が大きく変わりました。

 

大学院での研究に、海外からも熱視線
ビジネスに展開させるため会社を設立

 

2resize.jpg

-大学院で主に学んだこと、その研究成果についてお聞かせください。

 

 大学院では、吉田就彦教授の研究室で「ヒット現象の数理モデル化」について研究を進めました。例えば、公開から短期間で入場者数が減る映画と長期間にわたり人気が落ちない映画では、ヒットのパターンにどのような違いがあるのか。SNSなどのクチコミは、購買意欲にどのような影響を与えるのか。その法則を数式化する取り組みです。鳥取大学の石井晃教授とも共同研究を進めるうち、数理モデルをより深く探究したいという思いが湧き、2010年には鳥取大学の博士課程に社会人入学しました。こうした研究の集大成として出版されたのが、吉田教授、石井教授との共著『大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する』。その後、海外の物理学誌に論文を発表して世界から注目を集めたり、「デジタルコンテンツEXPO」に研究成果が採択されたり、数理モデルの分析がビジネスとして大きな展開を見せるようになりました。そこで、2013年5月にファインドパース株式会社を設立。私は同年3月に株式会社グルーヴオンというCO-クリエーションカンパニーを起業していたので、現在は2社間で連携しながら業務を進めています。

 

話題のビッグデータ分析にいち早く着手
数理モデルによるアプローチで新サービスを創造

 

3resize.jpg

-設立した会社では、どんな事業に取り組んでいるのでしょうか。

 

 現在ファインドパース株式会社では、大学院での研究成果を活かし、ビッグデータの解析に取り組んでいます。世の中に存在するデータは年々増え続け、2020年には現在の14~15倍にのぼると言われています。データ分析の需要も高まっており、市場も爆発的に伸びると確信しています。私たちが考える数理モデルによるアプローチも、必ずや社会に浸透していくでしょう。会社としてはまだシードステージにあり、今後どのように事業を展開していくか、私たちの選択肢は無限に考えられます。例えば口コミの推移により将来的な売り上げを予測したり、自社製品の口コミの特徴や拡散のメカニズムを把握したりすることもできるでしょう。これまで漠然としていたヒット現象を数理モデル化することで、新しいサービスを生みだしていければと願っています。

 

 

 また、個人的な目標としては、ビッグデータにとどまらず新しいものを生み出していきたいです。現在はBtoBのサービスを展開していますが、いつかは一般消費者に向けた面白いビジネスを生み出したいと考えています。

 

大学院で学んだのは表層的な知識ではなく
壁を乗り越えるための力――信念

 

4resize.jpg

-大学院で得たこと、起業した現在でも役立っていることを教えてください。

 

 デジタルハリウッド大学大学院で学んだのは、単なる知識や知恵、コンテンツビジネスのノウハウではありません。そもそも私が在学していたのは8年も前。当時の知識など、今やすっかり陳腐化しています。では、大学院で何を身につけることができたのか。それは、自分自身の核となる“信念”です。

 

 生きていれば、壁にぶつかることは幾度となくあるでしょう。組織の一員であれば上司の言葉に従えばよいかもしれません。しかし起業家となれば、上司に考えをゆだねることはできないのです。そんな時、高い壁を乗り越えるパワーとなるのが、経験の中で培ってきた信念です。打開策を自分自身で考える底力、私を支えてくれる仲間。これらをどこで手に入れるかは、今後の人生で大きな違いを生むはずです。私にとって、それがデジタルハリウッド大学大学院でした。表層的な知識ではなく本質的な原理原則を教えてくださった講師の方々、共に学んだ仲間には、感謝の念に堪えません。私が立ち上げた事業を社会に役立てることで、学びの成果を結実できればと願っています。


 

プロフィール

 

新垣 久史(あらがき・ひさし)氏

ファインドパース株式会社 代表取締役CEO/株式会社グルーヴオン 代表取締役/合同会社シナジーネットワーク代表/鳥取大学大学院工学研究科博士後期課程

1974年生まれ。デジタルハリウッド大学大学院に1期生として入学。吉田就彦教授のヒットコンテンツ研究室にて、鳥取大学石井教授とともにヒット現象の数理モデル化にとりくむ。両氏との共著に『大ヒットの方程式』がある。

 

 



ページの先頭へ