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「ドローンとデジタルコンテンツの未来像」レポート

一般社団法人 日本UAS産業振興協議会(所在:東京都千代田区、代表理事:鈴木真二、以下「JUIDA」)は無人航空機システム(UAS: Unmanned Aircraft Systems)の民生・産業分野における積極的な利活用を目的に設立された団体です。本学は今年の5月に公共会員として入会しました。修了生の高橋伸太郎氏を中心に、無人航空機産業の振興のため、新しい教育プログラムやコンテンツの開発で連携してまいります。共催の公開シンポジウム「ドローンとデジタルコンテンツの未来像」より、基調講演、ゲストスピーチをご紹介します。

一般社団法人 日本UAS産業振興協議会:
http://uas-japan.org/

 

基調講演

『無人航空機産業の将来展望』

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鈴木真二氏
JUIDA理事長/東京大学大学院 教授

ドローンは、1935年英国で、無人の標的機として登場したクイーン・ビー(女王蜂)を、米国が開発に当たってドローン(オス蜂)と名づけたことから始まった。長く軍事用であったドローンは、1987年ヤマハが開発した農薬散布機により産業利用も開始された。産業用小型無人機の利用としては、報道、測量、警備などの空撮利用、物流、医療機器輸送などの輸送利用、農薬散布、種まき、消化活動などの投下利用、通信などの中継利用、放射線計測などのサンプリング利用のモードがある。

日本国内の産業用無人機の市場予測は、2020年に186億円規模と推定されている。今後は、関連サービスのビジネス化が行われ、操縦関係として、訓練やライセンス発行サービス、機体関係で、点検、修理や登録サービス、第三者被害対応としては、保険、弁護サービス、運航関係で、ルートマップ、気象データ、運行情報サービスへの活用や、サービスそのものの立ち上げが予想されている。

制度は、国内ルールは国ごとに制定している現状である。日本では、さる7月14日に、航空法改正案の閣議決定があり、緊急の設定として飛行禁止空域を定める、飛行方法の制限、業者等への許可制などが盛り込まれている。最後に、JUIDAの活動としては、5月につくば市にJUIDA試験飛行場を開設した。

また、来たる2016年3月24日から26日に、JUIDA主催「Japan Drone 2016」を幕張メッセで開催する。日本の技術を発信し、ビジネスマッチングにつなげること、規則や利用法の国際的議論を行うことを目的とする。

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ゲストスピーチ

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杉山知之氏
デジタルハリウッド大学大学院 学長

コンテンツ産業は、新しい表現が大好きである。多くのコンテンツクリエイターが、ドローンをさっそく購入して飛ばしている。本学大学院の研究員も研究対象として興味を持つ人が多いようである。昨今は、演劇などの舞台演出でも活用が始まっているが、観客席の上を飛行させることはリスクが高いと感じ、事故がおこってコンテンツとしての発展に影響が出ることへの危機感があった。調べてみたが、現段階ではガイドラインのようなものが無く、その中で利用法、操縦法だけ教育することはできないと思っていたところ、JUIDA様と知り合う機会があり、ガイドラインについての座学も含めた、安全を念頭においたドローン教育の可能性を得た。ご存知のように、ドローンは風に弱く、初めての操縦は無風であることが望ましいが、さいわい本学は学校であるため体育館を所有していることから室内訓練を行うという選択肢がある。

昨今は、ドローンに対してネガティブなニュースが取り上げられ、世論も風潮も慎重に見る向きがあるが、デジタルハリウッドでは、報道・エンターテイメント分野における新しい映像コンテンツの開発など、産業分野における今後の可能性を認識し、国内外の事例研究や、ドローンを安全に活用する教育プログラムの開発に、関係機関と連携しながら取り組んでいく。今秋には、専門スクールにて、ドローンに関するコースを開講する予定である。来年3月開催の「Japan Drone 2016」に向けて、空撮コンテストが予定されているので、受講生の卒業制作作品の課題にできたらと思っている。

 

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熊田貴之氏
ブルーイノベーション株式会社代表取締役社長

ブルーイノベーション株式会社では、ドローンを活用した撮影サービスなどを行っている。昨年ドラえもんの「STAND BY ME ドラえもん」という映画のプロモーション映像の撮影依頼があり、タケコプターで飛べるなら、というユーザーの夢をかなえる体験型のWebサイトを、株式会社バスキュール、ヤフー株式会社、ブルーイノベーション株式会社にて作成した。(映像紹介)カンヌ広告賞にノミネートされ、話題性を得て、66万人が体験した。今後ドローン業界が広がっていくために、ポジティブにアイデアを出して、レギュレーションと照らし合わせながら、力を合わせて良いクリエイションを世に出していきたい。

 

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坂本義親氏
株式会社ORSO代表取締役社長・CEO

株式会社ORSOでは、「ユーザーの体験をデザインする制作会社」として、スマホのサービス開発をメインに120名で制作している。ドローンは新規事業として昨年7月より取り組んでいる。ドローンを飛ばしてみたい、コンテンツにしてみたいと友人が言い出したのが始まりだった。まず機材を買って、実証実験して、ドローンを飛ばしてデータを集めることを目的としながら、副産物としてスマホで体験する感動的な映像を撮影し続けた。

富士スピードウェイでのジムカーナ撮影や、横浜DeNAベイスターズ・横浜スタジアム、PlanDoSee(THE GARDEN ORIENTAL OSAKA/旧大阪市公館、THE SODOH東山京都/旧日本画家竹内栖鳳の私邸兼アトリエ、FORTUNE GARDEN 京都/島津製作所旧本社ビル)、釧路湿原などをはじめ、1,500フライトを撮影した。(群馬県の水上で撮影したDJIケーススタディ映像として取り上げられたドローンだけで撮影した映像を紹介)

基本方針は「自分達がされたら嫌なことはしない」をモットーに安全を第一に考え、次に繋がるフライトをすること。映像の依頼は、海外向けの観光素材が多いが、きちんと説明し、撮る側と撮られる側の思いを共有している。機種ごとの性能、操縦性能の限界を検証するため、マイナス10度の中で試行もおこなった。また、ドローンを正確に理解してもらうことを目的に「触る、遊ぶ、飛ばす」をテーマに、小さいドローンを用いた体験イベントを自社で行っている。

 

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瀬川友史氏
トーマツベンチャーサポート株式会社

トーマツベンチャーサポート株式会社では、ドローンも含めたロボット産業のベンチャー企業を支援している。自分は10年前の「愛、地球博」以来、ロボット産業化に取り組んできた。ロボットテクノロジーでは、「動く、感じる、考える」の要素があれば、ロボットである。ドローンが急速に普及する前の2010年のロボット市場予測でも、2035年に9.7兆円規模になるとされている。より一層の発展のためには、4つのマインドセットが必要と考えている。

1.技術開発ありきではなく、サービスソリューションから発想する
2.ユーザーマーケティングではなく、ユーザーにとっても未知の分野であると心得る
3.規制は壁、ではなく、適切な規制は必要である
4.大企業ではなく、ベンチャー企業から始まるのがふさわしい

ロボットは、費用やリスクは高いが効果がわからないと思われているため産業として膨らまなかった経緯があった。ドローンは、軽開発から始められることが重要であり、産業創出のポイントである。対策技術も併せて育っていくであろう。地球には、人が到達していない場所がまだまだたくさんある。夢のある分野である。ネガティブなニュースがおこるとしても、活用したい気持ちがあるからこそ注目を集めるのだと思う。

 

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永山新一氏
株式会社ラヴアンドシェアイメージ 代表取締役

株式会社ラヴアンドシェアイメージは、大手デベロッパーがクライアントである。デベロッパーは、形になる前にものを売る。俯瞰する映像は、従来はヘリコプターで撮影していたが、1本50万から100万円であった。そこにドローン(ファントム2)が現れた。昨年の春から、規制は無かったが、安全面より風速5メートルくらいまでで撮影するようにしていた。(ドローンによる空撮映像の紹介)俯瞰映像を混じえた映像は、経済的効果がある。今後は、ドローンで人物の表情を捉えることができるほど精度が上がって欲しい。人物の近影から、そのまま俯瞰映像に流れるような映像を撮影したい。

 

質疑応答

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講演後に行われた質疑応答では、2020年夏の東京オリンピックに向けた利活用が話題となった。例えばマラソンの衛星中継では、順位が低くても自国の選手を個別に追うカメラを、各国の国民は待望している。そのような要望は、ドローンによる撮影によって実現の可能性がある。またボストンマラソンの事件があるので、当然まず警備に利用される可能性も高い、などの話があった。

また瀬川氏より、大きなイベントは、期間や地区内を限定して新しい試みやルールに積極的に踏み込む絶好の機会であるとの話があった。例えば、高層ビルの赤いランプは航空障害灯だが、ドローン向けのインフラを試験設置する提案も可能であるとのことであった。永山氏は、現在は映像に特化したドローンが無いので、日本製の4K撮影が可能なドローンの開発を切望しているとのことであった。

参加者からは、法整備について、ドローンによる映像撮影のコツ、メンテナンスについてなどの質問があり、閉会後も、名刺交換や活発な意見交換がおこなわれた。

 

スピーカー

鈴木真二氏(JUIDA理事長/東京大学大学院 教授) 
杉山知之氏(デジタルハリウッド大学大学院 学長)
熊田貴之氏(ブルーイノベーション株式会社代表取締役社長)
坂本義親氏(株式会社ORSO代表取締役社長・CEO)
瀬川友史氏(トーマツベンチャーサポート株式会社)
永山新一氏(株式会社ラヴアンドシェアイメージ代表取締役)

 

モデレーター

高橋伸太郎氏
(デジタルハリウッド大学 メディアサイエンス研究所 杉山知之研究室 シニア・フェロー
 /UAS戦略研究プロジェクト ディレクター)

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JUIDAと連携したイベントや研究活動は、本大学院メールマガジンFacebookページ等でご案内してまいりますのでご注目ください。

また本学では、先端的なコンテンツを開発するための研究活動や、次の世代のデジタル産業を担う人材の育成に取り組んでおります。産学官連携での協同研究や開発につきましても、ご相談ください。

(撮影:尾山翔哉)


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