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2009年10月28日 日経MJにおいて三淵啓自教授の記事
「三淵啓自のECの波頭」が掲載されました

2009年10月28日付けの日経MJ7面において、本学でWebプロデュースⅡ(システム)、ITソリューション導入手法、コンテンツ情報処理ゼミをご担当いただいている、三淵啓自教授の記事「三淵啓自のECの波頭」が掲載されました。

三淵啓自のECの波頭

拡大続く仮想世界 新たな消費経済圏を形成 デジタルハリウッド大教授

ポイント

  1. セカンドライフなど仮想世界は、安定普及期へ成長が続いている
  2. 3次元オンラインゲームと違う自由な仮想世界が続々登場しつつある
  3. 売買などの制約は少なく、国際的な商取引市場が形成されつつある

2007年はじめにもマスコミをにぎわせ、企業進出も相次いだ3次元仮想世界の「セカンドライフ(SL)」。08年後半には、ほとんどの企業が撤退し、すでに終わったとまで批評された。だが世界的視野でみると、その後も成長を持続し、09年第2四半期のSL内の商取引額は200億円近くに達した。世界全体では参加者数も確実に増え続けている。

人気が過ぎると消えていくゲームのような消費型コンテンツとの違いは明白だ。ガートナーのハイプ曲線で見られるように、新技術が市場に現れた時、可能性が大きいものほど過剰な期待から早期にピークに至るが、反動が訪れるのも早い。それでも本当に価値ある技術は回復期を経て、安定普及期に至る。3次元仮想世界もまさに今、この回復期にある。

3次元仮想世界は総称で「メタバース」と呼ばれる。この造語は1992年のSF小説「スノークラッシュ」で初めて紹介された。語源はギリシャ語で「超える」の意の接頭語の「Meta」と、宇宙などをあらわす「Universe」だ。

サイバースペース(電脳世界)や仮想世界において、メタバースとは下記の条件を満たすものと定義されている。(1)3次元のシミュレーション空間(環境)を持っている、(2)自己投射できる仮想の分身(アバター)が存在する、(3)複数のアバターが同一の3次元空間を共有する、(4)空間内に仮想アイテムを創造できる。

さらに、SLでは参加者の自由度が高く、仮想商品の創作・販売、土地の購入や売買、それにともなう仮想通貨が存在し、メタバース経済圏が成立している。単なる革新技術にとどまらず、社会インフラとしての可能性を秘めているのだ。世界中から同一空間に接続できるため、国際的な市場としての意義も明白になってきた。SL内の商取引で年商2000万円以上の人も現れ、物価が低いブラジルではSLで生計を立てられる人が急増。SL人口が米国に次ぎ世界2位になった。

その可能性に注目する企業は多く、次々と新しい仮想空間が登場している。国内では、自由度が高い「スプリューム」や、仮想アイテムの課金ビジネスを積極的に取り込んでいる「ミート・ミー」「Ai@Space」が利用者を増やしており、トヨタ自動車など積極的に活用する一般企業も増えている。

一方、メタバース普及以前から3次元オンラインゲームは数多く存在した。人気作品は、多数の同一仮想世界を並列的に設けることで大量の参加者を同時に受け入れる。ゲーム空間内で参加者はアバターを操り、何らかの役割を果たす。SLとの違いは仮想世界の世界観、目的、ルールなどをゲーム製作・提供会社が定めている点だ。参加者間の自由な交流は限定され、ゲーム進行に拘束される。ゲームと同一視されることも多いメタバースだが、消費市場としての可能性ははるかに大きい。

こうした環境の自由度やアバターの自由度から、仮想世界は図のように整理できる。左下ではキャラクターや環境が固定されているが、右上ではアイテムや土地の制作・売買の自由度が高く、現実世界に似た経済圏を構築できる。

メタバースの消費市場としての本格的な拡大は、これからだ。今後、バーチャル商品、アバター特性と消費行動、アバターアイデンティティー、コンテンツ流通、ライセンス市場、国際競争力などの視点で、数回にわたり、考察していきたい。

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