教員インタビュー

VRやIoT、旬なテクノロジーで次世代型のものづくりにチャレンジ

株式会社ソニー木原研究所にて、3次元コンピュータグラフィクス技術の研究開発を手掛け、ゲーム関連、カーナビ関連の製品開発にも参加してきた香田夏雄教授。さまざまな3DCG応用技術を研究開発する、株式会社ヒュージスケールリアリティや株式会社インテグラルヴィジョンを設立。書籍の執筆や講演、講師など、次世代を担う技術者の育成にも力を入れています。

WEBビジネス業界の最先端で活躍を続け、その事例を構造的に解き明かしていく授業が院生から高い支持を現在では、株式会社ミライセンス(産総研技術移転ベンチャー)のコファウンダーCEOとして、同社で開発した世界初の「3D触力覚技術」を応用したデジタル「体感」ビジネスの展開に取り組んでいます。

本大学院ではICTモジュールの科目や「インタラクティブ・リアルタイム・コンテンツ・ラボ」を担当する香田教授に、テクノロジーの劇的な進化で変化するビジネス環境や、そこに必要とされる人材を育成する指導方針についてお話を伺いました。

「テクノロジー曲線」によってビビッドな
技術動向を把握し、ビジネスにつなげる

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私はゲーム業界の出身で、株式会社ソニー木原研究所に所属していた当時は3DCGの応用技術などハードのコア技術の開発に携わっていました。ゲームの世界はグラフィックスやゲーミフィケーションなどに関してさまざまな先進的な技術があります。これをゲーム以外の領域でコンシューマーを対象としたものづくりに落とし込んでいくといろいろとおもしろいことができるんです。その可能性を探り、新しいものづくりに取り組んでいくというのが、私のラボの研究テーマですね。重視しているのは、技術の旬をとらえてビジネスチャンスにつなげていくこと。そのため、「テクノロジー曲線」という考え方に基づいてさまざまな最新技術の動向を分析しています。テクノロジー曲線が緩やかに上昇し始めている初期は、まだ早すぎてビジネスとしての展開が難しい時期。中期の、頂点を挟んだ上り坂と下り坂が一番お金になる時期なんです。どんどん下っていって後期になるとコモディティ化して価格競争になってしまうのでビジネスチャンスとしての魅力は薄れます。例えば、プロジェクションマッピングは、世の中的には注目されていますが、テクノロジー曲線でいうとすでに後期に入っている技術といえますね。

VR(Virtual Reality)とIoT(Internet of Things)が
今、最も旬なテクノロジー

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今、私たちが注目しているのはVR(Virtual Reality)とIoT(Internet of Things)です。VRは、かつてVRML、セカンドライフなどが流行りましたが、今、マイクロソフトのホロレンズなどのARグラス、さらに没入型VR用のヘッドセットであるオキュラスリフトが出てきたことで3度目のブームを迎えています。VRはだいたい10年周期で波か来ていますね。FacebookがVR技術を持つオキュラスVR社を買収するなど、大きなお金も動いており、業界の真剣度も高いとみています。IoTは、インターネットとモノをつなぐ技術。例えば、身体に装着する運動量計がありますね。これをインターネットにつないでデータをクラウドにアップすることで、そのビッグデータを活用して運動量計単体ではできないおもしろいことができるようになります。ウェアラブル系以外に、身近に置いておける小さなロボットなどIOTのアイデアはいろいろとありますね。こういった高密度の小物作りは日本の得意分野でもあるので、その意味でも期待は大きいです。VRとIOTはテクノロジー曲線でいうとちょうど中期の上り坂に来ているところ。まさにビジネスを仕掛けるには最適な状況にあるといえるでしょう。

厳しく、きつくではなくワイワイ楽しく
お互いに刺激し合いながら経験値を高める

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ラボでは、まず1年の始めに何をやろうかということをみんなで話し合って決めます。その時点での技術動向を見ながら考えるので毎年変わる可能性がありますね。今はVRとIoTが旬だからやってみようということです。ラボのテーマを決めたら、その最新技術についてこれもみんなで調べる。お金を出し合って実際にプロダクトを購入したり、誰かが実際に使ってみて報告したりしながら理解を深めていきます。次にアイデアを出し合って新しいプロダクトを考え、ラボのみんなでモックを作ります。そして、その経験で得たものを踏まえて、それぞれが自分自身のものづくりに取り組んでいくわけです。最終的には自分のテーマに向かうことにはなりますが、意識しているのは個人戦ではなくグループでワイワイやりながら研究や制作を進めていくということ。シリコンバレーでは、ミートアップといわれる勉強会が毎日のように開催されていて、未来を語り、新しいアイデアを出し合うことで魅力的なビジネスが生まれています。私自身、ミートアップに参加してその創造性を体感していますから、ラボもそのような場にしていきたいですね。厳しく、きつくというのではなく楽しくやりながら経験値を高められる場作りを意識しています。

技術の知識以上に大切なのは「調べる」こと
その先に新たな発見や出会いが待っている

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ラボのメンバーはベンチャーの経営者や研究者もいれば、学部卒生やデザイナー志望者もいます。いろいろなバックグラウンドの人がいたほうが、お互いに刺激になりますし、気づきの機会も増えますね。ですから技術的な専門性については必須とは考えていません。このラボは企業でいうと企画部のようなもの。技術に強い人、企画力に長けた人、それぞれ役割がありますから。いずれにしても、大切なのは「調べる」ということです。興味を持って調べ、調べるために活動の幅を広げていくといろいろな出会いがある。そうすると、専門性は決して高くないスタートアップの人たちに興味を示す人はここに来て増えているので、さらにいろいろな情報やチャンスを得ることができます。そもそもデジタルハリウッド大学院自体が一種のミートアップの場です。ラボでは、私はシリコンバレーや展示会で得た最新情報を持ち込みますし、ほかにもさまざまな分野の第一線で活躍している教員がいますから、情報収集や人脈拡大には最適な環境なんです。私も含めて、デジハリの教員は、みんな先生というより同じビジネスの世界で先を行っている先輩だと考えています。一緒に切磋琢磨しながらビジネスチャンスを模索していきましょう。

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プロフィール

香田夏雄 専任教授

株式会社インテグラルヴィジョン代表取締役/株式会社ミライセンス(産総研技術移転ベンチャー)代表取締役

株式会社ソニー木原研究所にて、3次元コンピュータグラフィクス技術の研究開発を手掛ける。ゲーム関連、カーナビ関連の製品開発にも参加。2007年7月、さまざまな3DCG応用技術を研究開発する、株式会社ヒュージスケールリアリティを設立。現在は株式会社インテグラルヴィジョン代表取締役。書籍の執筆や講演、講師など、次世代を担う技術者の育成にも力を入れている。



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