子どもたちのクリエイティビティを高める教育プログラム開発という
ライフワークに出会った
現在大手外資系金融機関にお勤めされている宮坂さん。一方で、デジタルハリウッド大学大学院スクイーク研究室のプロジェクト研究特任研究員として、精力的に実証研究活動を行われている。研究は自分の「ライフワーク」とおっしゃる宮坂さんに、デジタルハリウッドでの研究との出会いについてお話いただいた。
これからのeラーニングはエンターテインメント性が重要だ
‐現在のお仕事や活動についてお伺いできますか?
現在、外資系金融機関に勤務しています。また、デジタルハリウッド大学大学院スクイーク研究室のプロジェクト研究特任研究員として、スクイーク※などのソフトウェアなどを利用した初等中等段階におけるIT 教育に関する実証研究活動を行っています。具体的な研究活動としては、昭和女子大学附属昭和小学校、東芝科学館などで、小学生向けのワークショップを年間25回程度開催しています。
仕事と平行して研究員の活動を続けるには、やはり時間の捻出が一番の課題です。私は時間を有効活用して無駄な時間を減らすように、日々心がけています。
‐研究員としての活動を始められた経緯をお聞かせください
大学院への入学を検討した当時、eラーニングに関する仕事をしていました。テレビ会議システムを利用したリアルタイム型の遠隔教育を担当していたので、「これからのeラーニングにはデジタルコンテンツの知識は必須だし、また、たのしく学ぶためにはエンターテインメント性が重要だ」と思い入学しました。
そして授業で「特ゼミ」を履修し、事業化できるレベルのビジネスプラン作成やコンテンツ制作を考えていた際、スクイークと出会いました。スクイークは小学生でも使える教育用のオープンソースソフトウェアですので、Linuxのような可能性があるのではないかと思ったのです。また、子供向けの教育にも興味がありましたので、スクイークを利用した子供向けの教育プログラムを開発したいと思いました。
スクイーク(Squeak Etoys)とはAlan Kay博士によって開発された、小学生でも使える教育用のオープンソースソフトウェア(フリーソフト)のこと。楽しみながら自分なりの作品を作る過程で、算数や数学の概念を理解するとともに、論理的な思考能力が身につくといわれている。現在も、世界中のたくさんの技術者によって機能の改良が行われている。
授業から始まった研究を、大学院がトータルでバックアップしてくれている
‐教育プログラム開発に当たってのエピソードをお聞かせください
スクイークは先生が教えるのではなく、子どもたちが自分で答えを見つけるというコンセプトで設計されています。それを具体的に教育プログラムに落とし込んでいく作業は大変でした。「特ゼミ」でも実際に何度かワークショップを開催しましたが、その度に教授から厳しい指導をいただきました。
また、開発に当たっては教授にご紹介いただき、多くの子ども教育の権威の方々からお話をお伺いすることができました。その上で、大学院のバックアップもいただき、平成18年には経済産業省IT採択事業、「国際競争力のあるITクラフトマン育成プログラム~世界聴診器のゲームプログラミングへの応用~」の研究を受託させていただきました。「特ゼミ」の授業から始まった本研究も5年を迎えましたが、デジタルハリウッド大学院にはトータルでバックアップしていただいてます。在学中のみならず、修了後のアフターフォローも素晴らしいと思います。
教育プログラム開発に当たって目指していることは、子どもたちがスクイークなどのソフトウェアを使って作品を作りながら、「学ぶことを学ぶ」ようになってもらうことです。自分が作った教育プログラムで子どもたちが喜んでいる姿をみるのがとても嬉しいですね。
クリエイティビティこそが、今の子ども教育に求められている
‐今後の宮坂さんの展望についてお聞かせください
「子ども教育」という視点から社会に対して価値を提供していきたいと思います。イノベーションが進み、インターネットや各種デバイスが子どもたちに大きな影響を与えるとともに、子どもたちのICTリテラシーは格段に高まっています。すなわち、ICTをツールとして誰もがクリエイティビティを発揮できるようになったということです。
私はクリエイティビティこそ、今の子ども教育に求められている要素だと思います。言われたことを言われたとおりに行うだけでなく、自主的に考えて主体的に動ける子どもたちになってほしいのです。ですから、ツールの使い方は勿論、そのモラルも含めて学んでもらい、子どもたちが楽しく自らのクリエイティビティを発揮してほしいと思っています。
現在は大学院で培った人脈のお陰もあり、各地からお声掛けいただいてワークショップを開催させていただいています。少しでも地域活性化のお手伝いができれば嬉しいですね。また、私の活動はワークショップを手伝ってくれる、デジタルハリウッド大学/大学院の学生や専門スクールデジタルハリウッドのOB/OG、またその他多くの関係機関の方々の協力によって支えられています。今後もこうした活動を通して、協力者の皆さんと一緒に「子ども達の為のたのしい学びの場」を創出していけるよう、研究活動を生涯のライフワークとして継続していきたいと思っています。
プロフィール
宮坂 俊夫さん 43歳
大手外資系金融機関勤務/DCM修士
システムエンジニア、青年海外協力隊、教育コンサルタントなどを経て、2005年デジタルハリウッド大学大学院修了。現在は大手金融機関にてeラーニング事業を担当。小学生向けのワークショップや社会人向けの教育活動にてICTを積極的に活用している。中小企業診断士。NPO法人スーパーサイエンスキッズ副理事長。














